一夜明けて
ともかく、暴走列車が一度は止まった。今は、嬉しい、というより、ほっとした気分だ。あれだけひどい政権が選挙で負けることさえなく暴走しつづけていたら、と思うと背筋がぞっとする。
しかし、別に状況が好転したわけではない。選んだ人たちは、2005年総選挙のときと、ほとんど何も変わっていない。投票したときの頭にあったのは、年金記録管理の杜撰さであり、政治活動資金の領収書のことである。法で道徳を定義しようとする暴挙、教育基本法の書き換えに憤ったわけではない。審議を形骸化させた強行採決の数々に憤ったわけでもない。ちょっと前に郵便局員たちに向けられた憎悪が、今度は社保庁職員に向けられただけである。小泉は向けられた憎悪をかわすだけでなく、それを煽って飼いならしさえする程にズルかった。安部はどこまでもおぼっちゃんで不器用だったがゆえに巻き添えにあってしまった。それだけのことである。──もちろん、おぼれないためには潜水の前のほんの一瞬の息継ぎが大事であるように、ここで稼げた多少の時間は大事なものだ。そこに可能性はあるはずだ。
これからのことはできるだけ考えたくないのだが、とりあえず、民主党は自民党への批判票を吸い上げただけなのだから、また、「二大政党」と常々口にしつづけているのだから*1、自民党との大連立だけは絶対にするべきではない。もしそんな気配があったならば、それは最大限に非難されるべきである。このことだけは、あらかじめ言っておこう*2。