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『美味しんぼ』休載?サンスポ報道の奇妙さ

美味しんぼ問題で編集部「批判受け止める」と見解 次号から休載へ」
http://www.sanspo.com/geino/news/20140516/sot14051620000006-n1.html


 かなり恣意的な見出しの付け方だと思います。
 「圧力を受けて休載」という印象を与えることを狙ってるんじゃないかと。


 最近の漫画雑誌では、大きなエピソードが終わると取材その他のために比較的長期間休載するケースは珍しくありません。ヤングジャンプの「Liar Game」は最近再開されるまで1年ほど休載してましたし、かなり長い休載もよくあることです。

美味しんぼ」でも、福島編のエピソードが終わったら休載するのは、むしろしない方がおかしいし、このエピソードは相当エネルギーを注いで描いてたはずなので、休載も少し長めになるのも、僕からすると納得のいく話です。そもそも、あの福島編を描いた後に、どんなグルメ話が描けるのでしょうか。真面目に考えたら「もうおいしい料理の話は描けない」となっても、それはそれで理解できる話です。


 というわけで、むしろ、「美味しんぼ」の読者ではない人たちに「抗議を受けて休載しました」という印象を広める意図があるのではないでしょうか。上記サンスポの記事は申し訳程度に「休載は予定通り」との編集部コメントを載せていますが、見出ししか読まない人なんていくらでもいます。「あー、あんなこと言ったらやっぱりこうなるのか」という空気を作ろうとしてるんじゃないかと、正直、かなり勘ぐってしまいます。そのくらいには不自然な見出しです。

 しかも、19日発売の次号は掲載されるんですよ。なんで「次号から休載」なのか。「休載」そのものにニュースバリューはないし、かなりミスリーディングです。


 弾圧への抗議も大事ですが、今の段階では、直截な抗議よりも、この福島編ラスト三回の内容をしっかり話題にすること、大阪府市等の行政のふざけた反論にしっかり再反論していく、作者と編集部を応援すること、といったことが複合的に発信されることも大事だと思います。

 要は、話を「美味しんぼ休載」に焦点化させないこと、ですね。丁寧に反撃していきましょう。

ハルキも泣かずば撃たれまい

 さて、村上春樹。>村上春樹さん、ノルウェーで講演 執筆も「ワクワク」@asahi.com

 主人公が、月が二つある現実がねじれた世界に紛れ込む物語「1Q84」の発想について聞かれ、9・11テロを引き合いに出し、「ビルが破壊される映像は完璧(かんぺき)すぎてコンピューター・グラフィックスのようだった。この世界とは別のところに、違う世界があるにちがいないと感じた」と説明。「9・11が無ければ、米国の大統領は違う人になり、イラクも占領しない、今とは違う世界になっていただろう。誰もが持つ、そうした感覚を書きたかった」と話した。

 まぁ、ペラいよね。世界的な小説家であるとは信じがたいほど。昔、エルサレム賞スピーチを擁護した経緯もあるので、落とし前をいくつかつけておく。

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「価値をめぐる争い」をめぐる争い

 表現の自由に関して。しばらく前に書いた記事。>http://d.hatena.ne.jp/mojimoji/20100805/p1


 この話題に触れるときにしばしば強調していることだが、ヘイトスピーチの問題は規制では収まらない。これはほぼ確実に言える。ヘイトスピーチに表現される類の欲望を抱えた人間は、表現の自由があればそれを使って、それが制限されているときにはその制限の範囲内で、同じことをやろうとするだろう。これは究極的には、人間の問題なのだ。

 ただ、それでもヘイトスピーチ規制に意味がありうるのは、この社会はヘイトスピーチを投げつけられる側のカタを持つのだということが明確な形で示されるということだ。それは、これまでヘイトスピーチによって押さえつけられてきた側の発話を引き出す効果を持つだろう。そのような言論空間の再編成の中で、それぞれの認識が深められ、なにより、「ヘイトスピーチをするような連中の認識が改められる必要がある」。まぁ、それはともかくとして。

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二分法について

id:the_sun_also_rises 敵と味方。二元思考。左派に多い論調だ。今回左派の主張は実現しなかった。彼らは失敗からなぜ学ばないのだろう。粘り強いではなく頑迷。理想論ではなく教条的。現実を少し分析し取入れれば違う将来もあろうにと思う*1

 これはこれでよくある論調だな。

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