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汚染水とストロンチウム ~ 2015.04.06参議院復興特別委員会 山本太郎議員質疑

 汚染水とストロンチウムに関する国会質疑です。序盤は答弁者(糟谷敏秀、資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監)ののらりくらり話法でイライラさせられますが、わずか10分の質疑の中でも山本議員はいくつか大事なしっぽを捕まえています。明らかになったことの要点は以下のとおりです。*1

  • 政府は「セシウムストロンチウム(からの影響)の比率は88対12。だから、セシウムを測れば、これとの比率でストロンチウムの影響はわかる」との理由で、ストロンチウムの計測をほとんどしていない。しかし、東電発表によると、平成26年度中に福島第一原発の港湾内へ放出された放射性物質の内訳ではストロンチウムセシウムの2.5倍であった。
  • 安倍首相はブエノスアイレス(IOC総会)で「汚染水は港湾内0.3km^2にブロックされている」と述べている。しかし、港湾内の海水は一日に47.3%が港湾外と入れ替わり、約1週間で99%が入れ替わる。
    • 山本議員は当初「57.3%」「5日」という数字を提示しています。糟谷管理監は「57.3%ではなく47.3%だ」と揚げ足を取って「港湾内の海水が何日で入れ替わるか」という点の答弁を誤魔化しているので、下地が計算し直して「1週間」との結果に入れ代えています。
  • 政府は、港湾内・港湾外の海水中の放射性物質濃度はWHOの定める飲料水の基準値を下回っており、問題ないと考えている。しかし、その港湾内で2014年12月に採れたタケノコメバルから223000bqのセシウム134・137が測定された(東電3月16日発表)。


 以上のことから、「汚染水中の放射性物質は海洋にダダ漏れだし、海水中濃度がいかに低くても生体濃縮もある、危険性の認識を改めるべき」、ストロンチウムについては、「現在ストロンチウムの計測はほとんど行っていないが、行うべき」、そして、「風評被害ではなく、測定しないから消費者に拒否されていることを認識せよ」という結論が引き出されます。
 それにしても、以上の質疑を受けて感想を求められた竹下亘興大臣(福島原発事故再生統括担当)の答弁が振るっています。「担当でもないし、ストロンチウムについてはよくわからない。ただし、『ストロンチウムの計測は必要ないという判断である』、私の答弁書にそう書いてあります」だそうです。お飾り大臣に過ぎないことを自ら述べるあっけらかんとした態度には「なめられてるなー、市民が」という感想しか出てきません。これは酷い。


【参議院・復興特別委員会】山本太郎(生活)「汚染水問題・ストロンチウムについ ...


 ところで、ストロンチウム検査の現状について。「マーケットバスケット方式で年に数回しか行っていない」とのことです。つまり、「平均的な人の食材摂取量を全部一つのバスケットに入れて、そのバスケット全体でそれぞれの放射性核種がどれくらい含まれているかを調べている」ということですね。
 山本議員の指摘を踏まえれば、海産物におけるストロンチウム汚染については、農産物におけるそれと比べて強く警戒すべきことは明らかです。少なくとも海産物、そして、海産物を肥料・飼料等で使っている農産物については、バスケットにしない状態でのストロンチウム検査が必要だ、ということが言えると思います。