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情報保全隊──現代の憲兵隊

 久間章生防衛相は七日午前、参院外交防衛委員会で、陸上自衛隊情報保全隊イラクへの自衛隊派遣に反対する市民活動などの情報を収集していた問題で「たえず情報収集は行っている」と、事実関係を認めた。その上で「自衛隊が情報を収集して分析することは悪いことではない」と述べ、正当性を強調した。
 また、久間氏は保全隊がデモや抗議活動の写真を撮影していたことについて「特定の誰かをクローズアップしたのではなく、デモ、抗議行動の風景を撮ることは違法ではない」との認識を示した。
 これに対し共産党の緒方靖夫氏は「警察でも撮影が認められているのは、犯罪が行われたか、犯罪の証拠保全の必要性があるときなどだけだ」と述べ、「警察官が正当な理由なく個人の容ぼうを写真撮影することは憲法一三条に反する」とした最高裁判決に抵触する恐れがあると指摘した。
 久間氏は「マスコミだって写真をパチパチ撮っている。取材が良くて、自衛隊だと駄目だという法的根拠はない」などと反論した。
自衛隊情報収集 防衛相『悪くない』東京新聞

 自衛隊が市民についての情報を集めるとして、必要なことは政策に対して「人々がどのような意見を持っているか」であって、「誰がそのような意見を持っているか」ではない。イラクに入国した市民が誰であるかを把握する必要がある組織は、安全確保が目的なら*1出入国管理に関わる外務省がやればいいことであり、同時に、「どのような目的で入国したか」の情報は不要である(そして、目的に関わらず把握されるべき、ということになろう)。他人の写真というものは、原則として、撮ってはならないものである。警察は証拠保全の目的で許容されているのであり、かつ、その場合にのみ許容される。マスコミは取材目的で許容されているのであり、公開される記事の製作のために必要だから許容されるのであり、かつ、その場合にのみ許容される。で、自衛隊にはそのような理由は一つもない。

 しかし、この事実そのものも呆れた話だが、この事実を「何の問題もない」とする個人がそこら中に観察されることの方に危機感を感じる。というより、そのように緩みきった感覚があるからこそ、自衛隊もこういうふるまいをのびのびとやれるのだろうし、国会で強弁することもできるのだろう。

*1:しかし、そもそも文書上は名前を伏せたりしているから、そういう目的ではありえないな。