モジモジ君のブログ。みたいな。

はてなダイアリーから引っ越してきました。

どうしてこんなに違うのか

 昨日の昼下がりから合間の時間を使いつつ一気に読んだ次の2冊。

沖縄「戦後」ゼロ年 (生活人新書)

沖縄「戦後」ゼロ年 (生活人新書)

国家の品格 (新潮新書)

国家の品格 (新潮新書)

 どちらもあっと言う間に読みきれる本である点では同じ。国家と、そこに生きる人間と、そうした主題について考えた本である点も同じ。にも関わらず、この射程の長さ、深さ、鋭さの違いは一体なんなのだろうか。かたや、辺境の偏狭な一小説家。かたや、グローバルに活躍した数学者。年齢差も20近い。それでどーしてこれだけ人間としての「品格」に差がついてしまうのだろうか。無残としかいいようがない。

 で、国家の品川の方はどうでもいい。目取真俊。良い本だった。沖縄戦基地問題、それを取り巻くポスト・コロニアルな問題、戦争責任と歴史修正主義の問題、性暴力とりわけ戦時性暴力、教科書問題からさらには教育問題一般、<癒しの島>という表象に見られるオリエンタリズム、などなど、個別テーマでの素晴らしい本は他にもあるが、これらのすべてが詰め込まれたコンパクトな本としては本書より良い本はちょっと思いつかない*1。小説も読んでみよう、って思った*2

*1:本論には関係ないけど、目取真俊氏の父君がALSなんだそうな。「父の戦争体験は、子どもの頃から折々聞いてきました。数年前のある深夜、三時間近くかけて父が私に戦争体験を話したことがあります。・・・父は筋萎縮性側索硬化症(ALS)という病気を患っているのですが、病気が進行して、もうすぐ話せなくなるときが近づいていました。その前に、自分の戦争体験を息子である私に伝えておきたかったのだと思います。・・・(p.28)」

*2:読んでないのかよっ!・・・はい、読んでません。小説読むの苦手なんですよ。最近。