モジモジ君のブログ。みたいな。

はてなダイアリーから引っ越してきました。

結局さっさとリフレ策やれって話になるわけか

浅学非才を省みずに郵政民営化に関して勢いだけでイロイロ書いたわけだが、まぁ、正直怪しいところが結構あるなぁ。そういう意味で、bewaad氏のエントリをいろいろと読んで改めて勉強してみた。ほとんど試験の答え合わせしてる学生みたいな気分。*1まぁ、なんだかんだ言って自分なりに少しは書き散らかした後だと勉強しやすいところは確かにある。(2005/08/25 8:36 若干加筆。)


郵政民営化関連のエントリを読んでると、自分が勘違いしてる部分をチラホラと発見しつつ、それらの点については今一息にいろいろ書くわけにいかないので(締切間際の仕事もあることだし*2)、おいおい考えていくとして、少しずつ消化していきたいと思う。ひとまず次のエントリから。

トンデモ#1:財政再建に関する意見のトンデモ度の測り方bewaad institute@kasumigaseki


財政再建を考えるときには、次の3原則を守ったものでなければ、到底まともなものとは言えないでしょう。つまり、この3原則は、トンデモ度を図る基準です。

1. 民間部門の経済力(=国(政府)の収入の根源)と借金の増え方の関係を議論すること。つまり、国(政府)の収入だけを論じていたり、借金の額だけを論じていても意味がありません。民間部門の経済力がどれだけ伸びていくかを見た上で、他方で借金の見方として全部返せるかという点ではなくどのように増えているのか(基本的には金利分だけ毎年増えていきます)、それが発散(無限大の増加)につながる危険性はどれだけあるのかを見なければなりません(専門的にはドーマー条件(名目GDP成長率が長期金利を上回っていること)が満たされているかどうかを見ろ、ということになります)。
2. グロスの負債額(借金の額だけを見るもの)ではなくネットの負債額(借金の額から資産の額を差し引いた額を見るもの)で議論すること。つまり、本当の意味で稼いで返さなければいけない額こそが正確な負担額=民間部門から政府があらためて徴収する必要のある額ですから、見合いの資産を無視して借金の額だけを議論するのは問題を過大評価していることになります(ちなみに、ネットで少なければグロスがいくら大きくても問題はない、ということではありません。市場経済を前提に政府が必要なことを行うのが本来の姿ですから、ネットを維持してグロスを増やす場合でも、そうした資産・負債両建てで政府部門の活動領域を増やす必要があるのか、という点は問われる必要があります)。
3. 民間部門内での貯蓄と投資(=借金)のバランスや外国の購買力(=輸出可能量)を考えた上で、国(政府)の借金の要不要を議論すること。つまり、国(政府)が一時的に借金を減らしたとしても、必要な借金をしなかった結果であればかえって国民経済に害を与えますから、そうした背景やもたらし得る影響についても考えを及ぼす必要があります。

特に3を考えなければならないわけですが。

昨日、郵貯簡保資金が政府に流れ込む話をした。政府が赤字体質をなんとかせにゃ、という気もするわけですが、ちょっと考えてみると、どっちにしても今のままでは国債発行をやめるわけにはいかない。


総需要 = 消費C + 投資I + 政府支出G + 純輸出XM
総所得 = 消費C + 貯蓄S + 租税T


だから、総需要=総所得とすると、


I+G+XM = S+T

I−S = T−G−XM


今、投資が少なくて貯蓄超過だから(左辺マイナス)、それに合わせて右辺がマイナスじゃないといけない。つまり、貯蓄超過を吸収できるくらい十分に政府支出を増やすか、減税するか、純輸出(の裏面である資本輸出)を拡大しないといけない。海外投資ができなければ、結局国が借金して使わないとバランスが取れない。バランスが取れないとなると、どうなるか。総供給が減り、総所得が減ることになる。これじゃみんなアンハッピー。つまりは、民間需要(消費+投資)が回復しないことには政府支出減少=国民所得減少ってことで生活に跳ね返ってくるわけだけど、みんなそれ分かってるのか、ということなわけだ。みんなのイメージはむしろ逆で、政府の累積財政赤字を食い止めれば自然と生活がよくなっていくはずだという漠然としたイメージがあるんじゃないのかな。だとしたら全然違う話だ。

そこで、民間需要を増やさなきゃならない。貯蓄のうまみを減らして消費を増やし、投資を増やすために、実質金利を下げる必要がある。しかし、今は知ってのとおり、ゼロ金利。これ以上実質金利を下げるためには調整インフレ=リフレ策しかない、とこういうことになる。


そもそも、現在は民間で貯蓄超過が生じている以上、「郵貯簡保資金が溜め込まれて有効活用されていない」という説は成り立たない。だから、今の状況を考える限り、郵政民営化したところで、何かが劇的に変わるわけはまったくない。それどころか、郵貯簡保の金が政府に流れ込んでいること自体が仕方のないことでしかない。郵政民営化だろうと民主党案でのソフト・ランディング策であろうと、どちらにしろとっととリフレ策をやらないことには意味がないってことになる。

そういう目で見ると、小泉政権にしても、まかり間違って岡田政権になるにしても、どちらも構造改革主義者でリフレのリの字もない以上、どっちを選んでも・・・って状態になるわけか。悲しすぎる。

*1:保守主義に関する彼との一連のやり取りについてはまったく納得していませんが、それについてはいずれ何か書くつもり。あるいは今書いてたり。それはともかくとして、この方のブログは経済学についてはとても勉強になります。それにしても、精力的に記事を書かれる方で、立場は違えど尊敬してはおります。

*2:珍しい。