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モジモジ君のブログ。みたいな。

はてなダイアリーから引っ越してきました。

バブル・金融危機・再分配

 そもそも何が起こったのか。「反リフレの経済学」とも関連しますが、簡単に解説します。それと、そのときに予告した「処方箋」の話、もっとちゃんと書こうと思ったのですが、余裕がないので、この記事の末尾に簡単に書きました。

金融緩和とバブル

 金利引下げは、「現在の支出を有利に、将来の支出を不利に」することで、現在の実需を増やそうとするものですが、そう簡単にはいきません。そもそもいらないものは買わない。足りている人は買わない。それよりは、「何があるか心配」だから、お金を取っておく。そのため、金融緩和で増えた資金がどこへ行くかといいますと、有価証券などのストック市場に流れ込み、そこでの価格上昇をもたらします。すると、価格上昇が、それらの有価証券の投資先としての魅力を高め、さらに資金が流れ込みます。これがバブルです。こうして実現した高い株価や地価が、企業や家計に対しては「資産が増えた」という認識を生み、それがベースになって消費や投資が実際に増えた、ということはあるでしょう。ただし、そこでの株価や地価はバブルに過ぎませんから、はじければ元の木阿弥になることは明白です。こういうことが世界的に起こっていたわけです。*1

 2006年、サブプライムローンの危機の表面化から、このバブルがはじけていくプロセスが始まっています。サブプライムローンの危機は金融機関の、ひいては金融機関から資金供与を受けている企業の危機でもあります。以後、何度かの暴落と持ち直しを経て、2008年3月にサブプライムローンが決定的に破綻し、金融危機がいよいよ現実のモノになってきます。ついでに、原油の動きを見ていますと、サブプライムローン危機が表面化して以降、じわじわと60ドル(2006年12月)から90ドル(2008年3月)まで上昇、2008年3月の世界同時暴落以後はさらに速度を上げて高騰し、同7月には140ドル程度になっています。有価証券が魅力を減じるたびに、原油が高騰しているわけです。その後、9月のリーマン破綻が引き金となって、いよいよ資金は行き場を失い、「あらゆる投資先よりも現金が有利」ということで、急速に資金の流量そのものが萎んでいきました。だから、9月以降は、株と原油が同時に下がる、なんて状態になるわけですが。ちなみに原油は65ドルくらいでしょうか。7月の半値以下です。

 バブルは膨らんだらはじけるに決まっています。だから、バブル対策は、第一に、膨らまさないようにすること、に尽きると思います。より具体的に言えば、バブルが小さい間にその都度つぶす、ということです。そのような政策は、短期的には「経済運営の失敗」として非難されやすいためしづらいのですが、それをやるしかないんです。

バブルに頼らない経済を

 もう一つ、経済を、バブルによってではなく、実際のニーズを反映した有効需要によって牽引させる必要があります。そのために必要なことが、積極的な再分配政策を含む、「結果の(できる限りの)平等」を目指す格差是正策です。第一に、消費性向の低い層から高い層への所得移転を進めること。第二に、傷病や失業などの個人的な危機には政府が助けてくれるという安心をもたらすこと。これが全体として消費の底上げになります。富裕層への課税を強化し、より所得の低い層と医療、介護、教育、育児等への大きなニーズを持つ人へお再分配を強化する。この方向で、行財政構造を改革していくこと、つまり、需要側の構造改革が必要だ、ということです。

 この点でいくと、減税とか給付金とかは、お金を使わない人にお金を戻すという意味で、ほとんど効果がありません。本当に必要なものに(つまり、必要なものはあるのだがお金が足りない人のために)使ってください。その方がよほど経済効果が上がります。情けは人のためならず、です。

 また、リフレ政策への評価も、かなり変わってきます。ここに述べたような行財政改革と組み合わせて行われれば、リフレ政策は潤滑油的な役割を果たすようにも思います。しかし、金融政策のみを大規模に行うと、先に述べたようなバブルの温床を作ってしまうだけになりかねません。その意味で、リフレ派は、昨今の世界的バブルの崩壊を見て、少なくとも自説の再検討をするべきではないですか、ということぐらいは言えます。単独での効果は限定的だと考えるべきではないかと思います。


 では、最後に、「再分配制度を強化して、それでもダメなら?」。その場合の原因は、グローバル化した経済の中で、政策が国家単位でしか行えないことに起因しているだろうと思います。たとえば、課税対象が海外に逃げるとか。ですから、再分配政策を強化するという方向での政策協調を考えればよい(考えるしかない)ということでしょう。G8では、そういう話をするべきです。でも、一国でできることはまだあると思いますので、それも同時に着手していくべきです。


※参考文献
 金融危機については、次の本。

すべての経済はバブルに通じる (光文社新書 363)

すべての経済はバブルに通じる (光文社新書 363)

 再分配を強化する必要性については、いささか遠いけれども、次の本。>追記>でも、ガルブレイス新古典派経済学に対する理解は、怪しいところも多々ある。この本はかなりマシだけど、他の本ではちょっとどうかと思うことも何度かあった。あまり経済学に詳しくない人は、経済学批判のところは留保しながら読んだ方がよいように思う。
ゆたかな社会 決定版 (岩波現代文庫)

ゆたかな社会 決定版 (岩波現代文庫)

*1:「反リフレの経済学」では、ストック市場のことは考慮してません。また、信用創造プロセスのことも考慮していません。だから、ここと次のパラグラフの内容は、そこでは含まれていないものです。