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金融安定化法案否決

 まぁ、驚いたっちゃあ驚いた。やるしかない、と思ってたし。今もそう思うし。ただ、法案に反対した市民がバカだ、というだけでは済まない。他人の金で大博打、勝てば自分の儲け、負けたらあなた払ってね、みたいなザル・ルールで好き勝手やった末に、システムが破綻しかけたら「皆さん、緊急事態です、税金使わせてください」って、そりゃ怒るわな。


 日経によると、金融安定化法案は「経営者に懲罰的」なんだそうな。

 金融安定化法案の合意を巡っては、共和、民主両党から経営責任の明確化を求める声が強まった。
 法案は不良資産買い取りの対象金融機関の経営報酬について、財務省がルールを公表することを盛り込んだ。具体的には同省が資産を直接買い取る場合は、成功報酬を制限し、高額退職金(ゴールデン・パラシュート)を原則禁止する。
 資産を入札方式で買い取る際には、一定の条件で高額退職金に税率二〇%の税金を課したり、役員報酬の所得控除に制限を加えたりする。
 資産買い取りの手法や規模で制限に差を設けたが、金融機関経営者にとってはいずれにしても懲罰的な条項となる。
日本経済新聞2008年9月30日 国際2 14版)

 逆に言えば、この程度のことも、今までやってなかった、ってことなんよな。だから、過大なリスクをとっても、儲かってる間に「自分へのご褒美」をたくさんとっておいて、破綻したら金融システムを人質に政府を脅し、「責任とって辞任」、後は左団扇と、まぁ、こういう按配なわけだ。これで誰も怒らない方がおかしい。「経営責任の明確化を求める声」は何も今回初めて出てきたんじゃなくて、何年も前からずっと言われてたこと。それでも対処してこなかったのは、ウォール街の業界人の不誠実ならびに政府と議会の怠慢以外の何物でもない。


 しかも、この期におよんで、最先端の金融市場のあり方が「経済全体の効率化を促進する」って主張して憚らない人がいるのには唖然とする。「基本的には良い仕組みだが、今回は緊急事態なのだ」じゃないだろ。これほど巨額の公的資金を必要とする未曾有の大惨事を引き起こしたシステムは、システムとして根本的に問題があるんだよ。

 だから、金融安定化法案を提案した側が言うべきは「緊急事態なので協力してください」ではない。それだけではない。「その緊急事態を招いたのは私たちです」とまで言わなければならない。「私たちが悪うございました」と言うべきだろう。

 まぁ、その上で言うと、公的資金の投入は免れないだろうなぁ、とも思う。投入しても収まるかどうかわかんないけど。それでも、やるしかないだろう。しかし、それを本当に実現したいのであれば、当然の怒りに対して率直に謝るくらいのことはすりゃあいいだろうに。ブッシュが、なんか危機に際して颯爽と登場した決然たるリーダー、みたいな顔してるのはどう考えてもおかしい。まず謝れ。話はそれから。