モジモジ君のブログ。みたいな。

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排外主義者、あるいは日曜サヨク、その4

 iteau氏が反論を書いたそうだ。>id:mojimoji氏への反論
 しかし、不思議な読解をする人たちだな。


 元々、「アイヌとチベットと」の中で、「チベット問題との温度差をすげえ感じた - NC-15」という記事に対して示されている、「「どっちもどっち」「いずこも同じ」なる相対化を行い、目前の暴力行為に沈黙をしてしまう、沈黙を強要する」という解釈が的外れだ、ということなのだ。

 指摘するまでもないことだと思うが、muffdiving氏は、アイヌ問題とチベット問題の両方を問題だと考えているのは明白だ。仮にチベットを問題にするならば、少なくともアイヌを問題にすることを批判するな、と主張しているのである。そして、(これはバカでないなら分かることだが)アイヌを問題にすることを批判するなら、チベットについても問題にするな」とは述べていないのである。当たり前だ。何をどう読んだら「沈黙を強要する」ことになるのか。なるわけがない。むしろ、muffdiving氏が批判するところのアイヌ批判者たちが、アイヌ問題に関して「沈黙を強要している」ことが問題であるのに。書かれてないことを補って読むのは必ずしも悪いとは言わないが、この補い方はまったく不合理な補い方だ。理解に苦しむ。


 そして、この誤読が、新たな記事でも繰り返されているだけだ。「反論」にはこう書かれている。

mojimoji氏に誤解があるとすれば、チベットの問題にアイヌをぶつけることを、単に並立的な相殺とは私は考えていない点にある。

チベットの問題とアイヌの問題に決して無視できない違いがある点は、チベットがまさしく恒常的な弾圧、拷問、強制的な同化に晒されているのに対して、アイヌは決してそうではないということだ。

 既に述べたように、そもそもmuffdiving氏にせよ僕にせよ、チベット問題とその他の問題を相殺などしていない。さらに言えば、iteau氏はこの引用部において、アイヌチベットの問題としての軽重を問うのである。どれくらい太い神経があれば、そんな発想ができるのか、ちょっと考えられない。

 誤解のないように申し添えておく。緊急性ゆえに、ある種の問題を「後回し」にすることはあるだろう。直近の問題に先に発言をする、ということはありうるだろう。しかし、ここで問われているのは、そんなこととはまったく関係がない。muffdiving氏が批判したのは、アイヌの問題提起に対する非難なのである。今、まさに、踏みにじっている、という問題である。何度でも繰り返すが、沈黙が問題とされたのではない。まさに攻撃していることが問題とされたのである。いい加減にわかれよ、と思う。

そのような状況下で、「中国に対する戦争犯罪を糾弾する」行為のみを行うことは皮肉なことに戦争犯罪を増大させる効果しかもたらさないのである。

 これなど、ホント、もう、まったく意味が分からない。日本の戦争責任をきちんと考えようと言うことが、中国政府のチベットでの暴力を誘発するというのだろうか。チベットへの暴力を誘発しているのは、第一に、中国政府に対する批判が弱いことではあろう。しかし、そのことと「中国に対する戦争犯罪を糾弾する」ことはまったく関係がない。両方やればいいのだし、少なくとも、「中国に対する戦争犯罪を糾弾する」が邪魔をしているということはまったくない。第二に、中国政府に対する批判に内実を与えるのが、主張される倫理の一貫性であり、ゆえに、「中国に対する戦争犯罪を糾弾する」ことは、本来、中国政府に対する批判にさえなるだろう。──特に、第二の点こそが、iteau氏が理解しえないことである。iteau氏は、問題にされるべき抑圧や侵害を属人的(属「国家」的というべきか)にしか理解しえず、それらを一まとめに批判しうる普遍性の問題として洞察しえない、ということだ。これは残念と言うほかない。


 挙句、次のようなことまで言う。

被抑圧者を叩いてきたから非難されていたのではない。中国を叩いていたから非難されていたのだ。

 muffdiving氏は「朝日も、アイヌの件取り上げるんだったら、中国がチベットに対してやらかしてることに対して非難せいよって感じなんですが」と述べたのだが、これがどこかで批判されただろうか。されているわけがない。そのことを見るだけでも、iteau氏のこの主張は当てはまらないことは分かる。


 ちなみに、「内面に憶測をつけてレッテルを貼るのを嫌」っているわけではないよ。ただ、そのようにレッテル貼りをされたときには、僕は僕自身の記述を証拠として反証するし、相手にも反証の機会を提示している。違うなら「違う」と言えばいいし、「違う」と言うことが意味することに矛盾しなければいい。ただ、それだけのことだと思っているけど。