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モジモジ君のブログ。みたいな。

はてなダイアリーから引っ越してきました。

「広義/狭義の性暴力」とか言い出すんでしょうか?

 まぁ他の新聞なども報道していますが。ぼくの今のところの姿勢は「詳細な続報を待ちたい」という感じ。もうすでに実際にレイプがあったものとして容疑者について何か言っている人も目立ちますが、そういう人は過去のいろいろな報道で何をどのように学んだのか皆目不明です。容疑を認めている、ならともかく、容疑を否認している、というのが気になる。
http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20080218/beihei

 同記事中の引用を孫引きする。

 十日午後十時半ごろ、女子中学生(14)を本島中部の公園先路上に停めていた乗用車内で暴行したとして、沖縄署は十一日午前、在沖米海兵隊キャンプ・コートニー所属のタイロン・ハドナット容疑者(38)を強姦の容疑で逮捕した。ハドナット容疑者は「抱き付いたり押し倒したりはしたが、暴行はしていない」と容疑を否認しているという。
「女子中学生暴行容疑で米兵を逮捕」@沖縄タイムス

 繰り返すけど、容疑者は「抱き付いたり押し倒したりはした」ことは認めている。連れまわされた女性が助けを求めているという事実がある以上、容疑者が彼女にまともな意思確認をしていないとしか考えられず、既にこの時点で性的暴力であることは確定。既に非難に値する。実際、容疑者は、「送っていくよ」「ドライブしよう」等、いずれも性的に接触することとまったく無関係なことしか聞いてない。今後、いずれかの供述・証言が翻されない限り、以上のことが言える。(A)

 その上で。これまであちこちのブログやコメントでなされてきた容疑者に対する批判って、強姦罪の成立要件をみたすかどうかで左右されるような記事しかなかったっけ?圧倒的多数は、そんなことと無関係に成立する内容の批判を述べていたと記憶しているけれど。既に認められている行為事実で十分成り立つような見解がほとんどだったはずだ。

 ところが、そういう検討なしに、こういう質問をしたりするわけです。愚劣過ぎ。これで一体何をしたいのか。「狭義の性暴力はなかったから、米兵は悪くない!」とか言い出すつもりなんか?


 あと、犯罪率比較についても触れておく。
 その数字で何が言えるのか、現時点ではまったく謎。地位協定は捜査段階でも足かせになっている。とりわけ、基地内での被害の場合、沖縄県警は捜査できないはず(憲兵が捜査することになるはずだが、当然、身内捜査の弊害が生じる)。また、捜査や起訴を思いとどまらせる社会的なパワーとして、米軍以上に強力な背景組織を持つ個人は、日本人にはほとんどいない。同じくらいの検挙率が出てたら、むしろ、そっちの方が驚くわ、という感じ。

 もちろん、「本当に」駐留米軍の方が犯罪を起こさない安全な集団である可能性も否定はしない。リテラシーがないとか言われたくないしね*1。それでも、どうしても数字で何かを言いたいなら、米兵に対する捜査・起訴が一般の日本人に対する捜査・起訴と比べてどのような困難を持っているのかをきちんと調べた上で言うべし。現状では、そんな地道な調査をした、という話は聞かない。つまり、犯罪率・検挙率などの数値データで何かを言う前に調べることが多すぎる、ということ。「少なくとも今は」数字で何かを言うべきではないし、注意喚起しないで数字を並べるだけというのも誠実だとは言えない。


 その上で、指摘しておく。統計数値がどうであるかに関係なく、地位協定不平等条約であり、それに起因する問題があるということは、定性的な分析として現状でも十分に言えること。「統計に基づく」ということと「科学的である」ということはまったく別の話。

font-daさんの指摘について

 font-daさんの指摘を受けて追記する。lovelovedog氏は元々「何かはあった」という想定を持ち、その点は僕とlovelovedog氏の間での論点ではない。かつ、彼が問うたことは「何があったかはわからない」ではなく、「刑法上の強姦罪があったかはわからない」という点のみ。彼は性暴力と言いうる事実の有無など問題にしておらず、最初から強姦罪を構成する事実があったかだけを問題にしている。ゆえに、font-daさんが言う「lovelovedogさんの言うとおり、実際に性暴力があったかどうかは、「わからない」のである」は、少なくとも、「lovelovedogさんの言うとおり」ではない。彼はそんなことを問題にもしていない。そのことはその後に追記された別の記事の項目3*2にも明らかだと思う。
 それと、僕の批判も、元々、その論点設定に対する批判に絞られている。つまり、本記事中の「確定」も、強制わいせつ罪等に該当する処罰が課されるべきことが確定、という意味ではない。ただし、誤解の余地があったことは認める。加えて、容疑者は今のところ行為事実を認めている(悪意のみを否認している)けれども、今後、行為事実自体を否認する方に供述を変える可能性もある。また、被害女性が「合意だった」と前言を翻す可能性もゼロではない。だから、一応、「供述・証言が翻されない限り」の一句を加えることにした。さしあたり、以上。


※以下は、地位協定関連書籍。結構ザクザクあります。

日米地位協定の考え方―外務省機密文書

日米地位協定の考え方―外務省機密文書

検証地位協定 日米不平等の源流

検証地位協定 日米不平等の源流

日米地位協定逐条批判

日米地位協定逐条批判

*1:我ながらカマトト過ぎ。

*2:「3・沖縄県内外の「反安保、反基地、反駐留軍、反米」団体がこの事件を「08年米兵暴行事件」と名づけ、暴行=強姦的に語り、あたかも強姦があったかのように印象操作。あるいは「レイプが実際にあったか否かは問題ではない」、あるいは「広義のレイプ」あるいは「反日地位協定で反政府・反自民党」」。