モジモジ君のブログ。みたいな。

はてなダイアリーから引っ越してきました。

原子力は地球温暖化対策にならない

 「今こそ原子力政策を見直そう」で、温暖化関連は別記事、と予告したのに放置してたことに気づく(buyobuyoさんのところで話題になってるのを見つけたので)。というわけで、残務処理。といっても、元ネタは、原子力資料情報室のこれ。>地球温暖化問題と原子力の関わりについての公開質問状
 ガイア仮説のジェームズ・ラブロックが日本の原子力政策を支持する内容の講演を行なった件で出された公開質問状。詳細はこれを読んでくれればいいけど、以下、簡単に内容を簡単に紹介。


 そもそも、世界の総発電量に占める原子力発電の割合は16%、大して火力は66%。だから、単純に火力を原子力で置き換えるとすると、原子力発電所の数を5倍にしなければならない。世界中で434基の発電用原子炉が動いてるそうですが、これを2200基くらいにしないといけない。これを2025年までに整備するとすると、毎週1基の新規原子炉が稼動し始めなければならない。もう、このへんで既に無理そう。しかも、これは電力需要が横這いであることを想定しており、かつ、電力しか考慮していない(電力以外の一次エネルギーでは、原子力の占有率は6%)。──結局、廃熱利用など、エネルギーのロスをいかに節約するか、いかにエネルギーを使わないか、という方向で考えるより他はない。原子力に出来ることは誤差の範囲内。


 さらに、原子力は一基あたりの発電量が大きいので、事故などで停止した場合、別の電源によるバックアップがかなり大規模になる。たとえば、普段は使わない火力発電所を用意し、原子炉がトラブったときだけ稼動する、というようなことをする。原子力が、温暖化対策として有効であるためには、実際に運転されなければならない。だから、「事故の可能性はあっても温暖化対策のためには必要」というロジックは成り立たない。事故の可能性があったら、しばしば原子炉を止めなければならないので、「事故の可能性ゆえに温暖化対策としてアテにできない」ということになる。
※ついでに言うと、つまり、このバックアップ設備も、原子力発電のコストとして考慮しなければならない。でもバックアップ用とはいえ火力発電所だから、これを「火力発電のコスト」に分類するならば、原子力発電のコストは見かけ上低くなる。まさか、そんな操作はしてませんよね?(僕は知りませんけど。)


 まぁ、あとは「事故そのもののコスト」、「廃棄物の処理、保管、また、それらの失敗に伴うコスト」、「核テロ可能性のコスト」、「新エネルギーの導入開発を遅らせるコスト」等々。──というわけで、そろそろお風呂に入らねばならないので、ここでオシマイ。