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大阪市長の法感覚──住民基本台帳法>憲法

 野宿者問題のまとめに「あと一つ書きたいことあるけど」と書いてたのがこの件についてでした。分からないことが幾つかあったので伸び伸びになってたのだけど、事態が緊迫しているので、雑ですが記事を書きます。状況は釜パト活動日誌にて、ほぼリアルタイムで報告があがっています。以下、申し入れ書の本文と簡単なコメント。

申し入れ書
大阪市長 関淳一殿
2007年3月1日
 釜ヶ崎解放会館や「ふるさとの家」などに住民登録している日雇い・野宿労働者の住民票を大阪市が一斉に消除しようとしている問題について、この間、これまでの前提を越えるいくつかの事実が明らかになった、3月1日付の大阪市市民局名による回答は、この間うかびあがってきた疑問に答えていないので、再度申し入れる。
 西成区は、30年の長きにわたって日雇い労働者を釜ヶ崎が咲き解放会館などに住民登録してきた。その間、西成区は毎年調査を実施し、「法(住民基本台帳法)の要件に合わない者」については所見で登録を消除してきた。公職選挙の際、投票所に赴いたところで初めて少女されていると気づいた労働者がいる。これは逆に言えば、消除されなかった者については「法の要件に合っている」とくが判断していたということだ。
 公職選挙の際には、萩之茶屋小学校などの投票所では「萩之茶屋2−5−23」と表示されたブースが設置され、氏名の50音順に投票机が置かれていた。選挙管理委員会は、多数が登録している状態を意識的に活用してきたことは明らかである。
 藤田市民局市民部区政課・課長代理は、そうしたことが事実であるならば、と前置きしたうえで、「市は慣行としてすすめてきた」(これまで慣行としてやってきたものを突然「違法だから削除する」というのでは)「労働者は被害者だと言われても仕方がない」と発言し、市の対応の矛盾はますます明らかである。
 総務省も住民登録の扱いについては、各自治体の特性にかんがみ、自治体の裁量権を認めているが、上記のような実態こそ釜ヶ崎を抱える大阪市の特性であり、だからこそ大阪市は、これまで慣行として解放会館などでの登録をすすめてきたのではないか。従来どおりの慣行を法は許容しており、必ずしも消除は必要としていない。
 以上の疑問点が解消されていない以上、消除はとうてい受け容れられない。
 上記の点について早急に説明を求めるとともに、以下申し入れる。
1.住民登録を消除するな
2.関市長自ら労働者に公開説明を行え
3.代替の住民票置き場を示せ
申し入れ書」より。

 「違法状態を解消する」と言えば何かいいことしてるように思うかもしれませんが、元々法が不備なのです。で、行政もそのことは重々承知であって、だから運用で対応してきたのです。今回の大阪市の措置は、法の不備を正さずにただ運用を変える、というもの。結果として生じる法の不備については、一切口をつぐんでいます。
 今回の件には、市職員の中からもさすがに「無茶だ」という声があがっていると聞きます(記事のタイトルを「大阪市の」ではなく「大阪市長の」としたのは、そのためです)。ともかく、酷い話です。大阪市側のギリギリの対応を注視していく必要があります。

【他、参考エントリ】
 雑感:生をつなぐ道@P-navi info
 モデスタ・ヴァレンティ通り@P-navi info