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モジモジ君のブログ。みたいな。

はてなダイアリーから引っ越してきました。

野宿者の公園居住は国際法的に容認されている

 先日TBを送ってきたkeya1984氏が「住居の強制撤去について」というエントリを立てている。

まず、こと今件に関して言えば、国際人権規約および一般的意見7に抵触するものではなく、今件に先立つ政府回答の枠内に収まるものであろう。なぜなら、こと今回は「公園を占有していた居住施設の撤去」だからである。締結国を見てみたが、たとえばニューヨークのセントラルパークでもいいし、ロンドンのハイドパークでもいいが、公園内でホームレスが居住施設を建てることを認めているだろうか? 私は、これら諸外国でも公園内にホームレスはいるだろうと思うけれど、国内法にせよ国際条約にせよ、一般的に公園内に居住権を認めて住居の建設を許可している例はないと思う。当たり前であろう、公園という土地に対してそのようなことを法的に認めれば、誰だって勝手に占有して自分の土地建物にしてしまうのだから。行き場のない人の、仮の居場所としてどこまで見過ごせるかは、あくまで公園管理者・公園利用者の許容度の範囲内にすぎまい。

自国の政府が当然のように実行している政策、とりわけ自分自身の常識にも強く合致する政策が、国際法的に見て完全に間違っている、ということをすんなり受け入れるのは、多少難しいことと思う。ただ、ここ数日のやり取りで初めて国際人権規約なるものに触れたということなら、致し方ない面もあるかもしれない*1社会権規約委員会は日本政府報告に対する所見の中で、次のように述べている。今回の問題に関連するところを引用しよう。

【主な懸念事項】
29.委員会は、日本全国、特に大阪/釜ヶ崎に、膨大な数のホームレスの人々がいることについて、心配をしています。国がホームレスをなくすための包括的な計画を持っていないということは、さらに心配です。

30.委員会はまた、強制立ち退きについて、特に仮の住居からホームレスの人々を立ち退かせる、また長い間ウトロ地区に住んできた人々を追い立てることについて、懸念を抱いています。強制立ち退きについて委員会が特に懸念しているのは、裁判所による簡易な手続きで、特に理由を示されることなく、仮の立ち退き命令が出されてしまうということです。執行が停止されなければ、上訴する権利も無意味となり、仮の立ち退き命令は実質的に確定的なものとなってしまいます。これは委員会が一般的意見4と7の中で確認しているガイドラインに違反します。


【提案と勧告】
56.委員会は、日本政府が独自に、あるいは都道府県と協力して、日本におけるホームレスの規模や原因を調査するよう、勧告します。日本政府はまた、生活保護法などのすでにある法律の十分な活用を確実にし、ホームレスの人々の適切な水準の生活を確保するために十分な措置を取るべきです。

57.委員会は、すべての立ち退き命令、特に、裁判所が仮執行命令を出す手続きが、確実に当委員会一般的意見4と7に明記されているガイドラインに沿うように、日本政府が救済のための措置をとることを勧告します。

社会権規約委員会は、(少なくとも緊急避難としては)公有地での居住を認めているし、そこからの強制退去を行うことを認めていない。今回の長居のような強制執行が行われることを、あらかじめ懸念し、そういうことはするな、と勧告している。

 ただ、以上のことは、「国連の委員会が言っているから正しい」という性質のものではないことは強調しておく。人間である以上、どこかには住まなければならない。他人の私有地に住むのは問題があるなら、公有地に住む他はない、というのは論理的に考えるなら動かしようのない事実である。だから、「野宿者は消えてなくなれ」と言うのでないならば、公有地に住む権利を擁護するのは当然の理。その程度には国連の委員会も分かっている、という話。


 ついでに次の一節について。

公園とは、都市災害(とりわけ火災)が起きたときの延焼防止地帯という面がある。また、ことに震災などでは、多くの住民の避難地でもある。その公園に、多くのバラックやテントが立っていて占有されていたら、もしものときのそうした機能が失われていることになるではないか。

 実際に長居公園大阪城公園扇町公園に行ってみれば、この心配が杞憂だってのは分かるかと。今の3倍くらいにテントを増やしても大丈夫じゃないかね。それに、公園に既に野宿者のコミュニティがあるならば、かえって被災者の受け入れはスムーズにいく可能性もある。そこは野宿生活のノウハウとシステムが蓄積されている場所でもあるのだから。

*1:僕は野宿者の居住権が認められるのは道理として当然だと思うけれども、それでも国際法がそれをきちんと承認している、と知ったときには少なからず驚いた。国際機関も捨てたもんじゃないね。