モジモジ君のブログ。みたいな。

はてなダイアリーから引っ越してきました。

『きょうだいは70人』絶版へ

いやーな気分にならざるを得ない状況の中で、久しぶりに良いニュースが入ってきた。いや、小さい話かもしれないけれども、でも、とてもよいニュース。
さようなら、児童養護施設をめぐる美談」@ekblog


問題になったのは、『きょうだいは70人―まっすぐ生きろ!児童養護施設の子どもたち』という、児童養護施設を題材にした本。「感動ノンフィクション」とうたっているこの本は、親が育てられない子どもの問題について誤った情報を与えるかなり問題のある内容になっている。
(1)児童が成長する環境として、児童養護施設は家族の代わりになるものではないこと、(2)関連するが、児童養護施設はあくまでも一時滞在先であるよう努め、可能な限り里親家庭への受け入れに向けた努力がなされるべきであること、この2点はこの問題を考える上での基本的認識とされるものである。にもかかわらず、施設を家族のように表象し、そこに感動を求めて消費する問題の本は、とても容認されるようなものではないのだ。とどめに、(3)この本が取り上げている施設は後に虐待が発覚している。もはや弁護のしようがない。

で、その本を児童養護施設出身の二人の方が読み、その内容のヒドさに「絶版にすべき」という主張をブログ上で展開したところ、その声がekblogのeigerさんを通じて出版社に伝わり、事態の重大さを認識した出版社側が「販売停止」、「可能な範囲での回収」という、およそ考えられる限りでの最善の、誠実な対応を行ったというもの。

「言葉が通じる」とはこういうことを言うのだよなぁ。eigerさん、そして最初に声をあげたお二人、本当におめでとう&ご苦労様。