モジモジ君のブログ。みたいな。

はてなダイアリーから引っ越してきました。

都市型訓練施設、強行で訓練開始@金武町

 またしても、である。

米軍都市型訓練施設で実弾射撃開始
http://mytown.asahi.com/okinawa/news02.asp?c=5&kiji=545

在沖縄米軍は12日朝から、沖縄県金武町の米海兵隊キャンプ・ハンセン内に新たに完成した都市型訓練施設(複合射撃練習場)の使用を始めた。那覇防衛施設局は同日午前の使用開始通告はないが、訓練に伴う音は確認した、としている。住宅地に近く危険性が指摘されていた同施設をめぐっては、4月末に外務省と防衛施設庁が、同キャンプ内の山あいの区域に移設する方針を表明。代替施設が完成するまでは、現施設を使用するとしていた。沖縄県金武町議会は、移設は容認したものの、使用には反対している。

地元伊芸区の池原政文区長は、午前8時半ごろから銃声が断続的に聞こえている、という。都市型訓練施設は米陸軍の特殊部隊(グリーンベレー)が市街戦などの訓練に使用する。キャンプ・ハンセン内で従来使用していた施設が老朽化したため、04年5月、同じキャンプ内の実弾射撃訓練区域レンジ4で新施設の建設に着工。この5月に完成、6月24日に外務省などに使用通告をしていた。

しかし、レンジ4から直近の住宅地までの距離は約300メートルしかなく、間には沖縄自動車道も通っている。住民らが被弾するおそれがあるとして、地元は使用開始に強く反対している。

代替施設の建設費用は日本側が負担し、現在の施設から北東に約3キロ離れたレンジ16の奥に建設する計画だが、完成時期の見通しは立っていない。


 「たかが訓練」と思う人もいるかもしれないが、市外地のわずか300メートル先に実弾演習場を作るというのはものすごく危険である。壁や障害物にあたった弾丸は、しばしば跳ねてどこに飛ぶか分からない。射線が市街地に直接向いていないからといって安全だとは限らないのだ。そして現在の高性能の銃器(そして実際に訓練に使用されている銃器)の威力は、300メートル程度なら十分な殺傷力を持つものだという。跳ねることによる威力の減衰を計算にいれても、これがいかに危険かわかるだろう。実際、過去においては被害が発生している。

新たな「基地負担」都市型訓練施設
http://mytown.asahi.com/okinawa/news02.asp?c=5&kiji=546

施設内の3階建てのビルは、都市ゲリラ戦などを想定した建物攻略訓練に使われる。そして、そのビルから、約200メートル離れた標的を狙撃するライフル射撃訓練も実施される。標的からはね返る弾の被害を防ぐゴム板は設置されているものの、射撃方向と並行して走る沖縄自動車道との距離はわずか150メートル。間にはまばらな林があるだけだ。

 このため、「車に流れ弾が当たったら大惨事になる」と危惧の声があがる。政府側は「施設の向きや構造から、弾による被害は起こりえない」と説明するが、住民を安心させるには至っていない。

 新施設のあるレンジ4に近接する伊芸区では、50〜60年代を中心に、米軍訓練の銃弾や砲弾が住宅地に飛び込み、子どもや女性がけがをしたり、民家の屋根が壊れたりする被害が相次いだ。

 50年代でさえそうである。近隣住民が反対を叫ぶのは当たり前だ。しかし、軍事常識的に考えて「危険」であることが明白なのに「問題ない」と強弁する米軍にも増してあきれるのが日本政府の対応である。


 大野防衛庁長官はこの期におよんで、「問題ないと聞いているから、中止を申し入れるつもりはない」、「近隣住民に不安があるなら、検討する」などと寝言を言っている。1km先の目標に対して殺傷力を持つ銃器を、住宅地の300m先で使用して「問題がない」という奴は、本気で言っているなら今すぐ防衛庁長官をやめるべきだ。知識がないにもほどがある。訓練開始前から基地の前で座り込みをしている住民の姿を見て、「不安を感じているかどうか分からない」というのは、あまりと言えばあまりではないか。沖縄県民は犬畜生か。別に暇でもなんでもない。仕事もあるし、仕事がなければ家族と過ごし、友人とすごすべき貴重な時間を使って米軍基地の前に座り込んでも、「訓練の安全性に不安を感じているかどうか分からない」といわれる人たちはあまりにも不憫ではないか。あるいは、その存在さえ認識されていないのか。


 もちろん、問題は、大野防衛庁長官の知的能力にあるわけではない。彼らは知っているのだ。知っていて、知らない振りをしているのだ。腐り果てた言葉を吐く恥知らずたち。あまりといえばあまりの現実である。報道ステーションで流されていた反対派の女性の姿に、胸が詰まった。本当に普通に暮らしているだけだろうに。対称的に、大野の顔をテレビ越しに見ながら、暗澹たる気持ちになった。そしてそれはもちろん、大野だけの問題ではない。