モジモジ君のブログ。みたいな。

はてなダイアリーから引っ越してきました。

パレスチナの選挙

 メディアがこぞって、「歴史的な日になる」と言っている。

 何を寝ぼけたことを言っているんだ。パレスチナ問題におけるアラファトに起因する問題というのは、元々イスラエル政府の根本政策に起因するものに比べればゴミみたいなものでしかなかった。今、イスラエルの手出しなしに粛々と投票が進んでいるのは、既にイスラエルにとって都合の悪い候補者は殺し終わった後の、あくまでもイスラエルにとって既に無害な選挙となったことの証左でしかないと僕には思える。

 アラファト死去に際して「日本も含めた国際社会のコンテクスト抜きのアラファト氏評価には意味がない」と早尾貴紀さんが既に喝破したけど(http://palestine-heiwa.org/note/Kshikiconfig.cgi/A2004110)、今回の選挙についても、やはり国際社会のコンテクスト抜きに「アラファトのいない選挙」としての側面ばかりを強調して伝えるマスコミの姿勢はまったくの的外れであることを、強調しておく必要がある。逆に問い返そう。アラファトのいない選挙が行われれば、店先で同級生と話していただけの高校生が突然銃撃によって瀕死の重傷を負うなんて事態はなくなるのか?*1

 パレスチナ問題を形作っているのは、第一義的にはイスラエルとアメリカである。それは何も変わっていない。難民の帰還権の問題、占領地におけるまったく正当化不可能な壁の建設、そして度重なる軍事力の行使、その資金調達から隠蔽工作にいたるまで全面的に支援する世界唯一の超大国。それらがパレスチナ問題の99%を形作っているものである。こうした問題の一切を都合よく無視して、「アラファトがいない」ことをさも大変化であるかのように言う報道は、そのすべてが虚妄であり、それ自体が悪質なプロパガンダに過ぎない。

*1:「報道されなかったもう一つの話」http://www.onweb.to/palestine/siryo/terahata-iman05.html@ナブルス通信。