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定時制つぶしのプロパガンダ?@東京

◇  [子ども]都立高校生ひとりあたりのコスト発表。
http://d.hatena.ne.jp/miyutomo2/20041127#p3

朝日新聞本日付朝刊より。

教育委員会は、すべての都立学校でかかる教育コストを分析した「都立高校バランスシート」を公表した。各学校の昨年度決算額を積み上げて分析したところ、高校生一人あたりにかかる年間費用は平均126万6千円だった。

高校196校、高等専門学校2校、盲・ろう・養護学校55校について計算した。件費や減価償却費などの支出を合計した「総コスト」を生徒一人あたりに換算した数字をみると全日制高校は平均114万円、定時制高校は同267万円だった。全高校の授業1時間あたりの経費の平均は約4万2千円となった。一方、高校の生徒・保護者の入学金や学費による「受益者負担率」は7.4%、税金投入の割合は91.6%だった。(中略)都教委は「各校の学校経営計画.学校経営報告とともに報告することで、都民への説明責任を果たす」と話している。

 言うまでもないことだけど、全日制と定時制の提供するサービスは異なるサービスであって、異なるサービスのコストが異なるのはごく普通のことであって、たとえばリンゴとミカンの1個あたりのコストは違う。同じ教育だから比較可能だ、と考えるだろうか?それなら、規模の大きな都立高校と、そうではない別の都立高校で比べてみればいい。そのコストは絶対に異なっているはずだ。条件が違えば施設等の固定費用と人件費などの流動的な費用のバランスも異なるのだから、ここでも一人あたりのコストは違っているはずだ。問題は、誰に、どのような教育を提供するかである。同じ教育を提供するとしても、条件が違えばコストは変わる。異なる教育を提供するならなおさら変わる。

 高校生一人あたりのコストを比較することには、単に計算結果を示すだけなら何の意味もない。会計データなどの定式化されたデータならともかく、それを加工して比率を計算して見せたりするならば、それで何が分かるのかも併せて説明しなければ意味のある資料とはならない。どういう帰結を述べることの出来るデータなのか、都教委の見解を示さない限り、その数字は単なる数字の羅列だ。さらに言えば、データが一人歩きして定時制へ通う人々への蔑視、「金食い虫め」という非難を引き起こす可能性すらあり、有害ですらある。・・・というより、そういう空気を作ることを狙っているのだろう。あの都知事にして、この都教委あり、だ。

 大阪でも定時制の削減・廃止がここ数年問題になっていて、他人事ではない。削減をするな、とは言わないが、定時制を必要とする人々の教育をどうするのかを積極的に構想した上での安上がりな案を策定するべきであって、「お金かかるから削ります」という程度の理念もなにもない戯言しか言えないなら、そんな仕事はどんなバカでもできるからとっとと職を辞せ、と言いたい。