モジモジ君のブログ。みたいな。

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内田樹さんのセックスワーク論

 とあるところで最新刊の『岩波 応用倫理学講義〈5〉性/愛』に内田氏の論考が入っているという情報を入手したので早速天王寺買いにいった。・・・ら、「ついさっき売れちゃったんですよね〜」と、店員さん。その手には先ほど抜いたばかりの注文票がピラピラ。あ〜ムカツク。というわけで、急遽梅田に出て買ってくることに。旭屋書店で無事購入。

 さて。<この道の専門家ではない>と断った上で始まる小論文。一点、<買売春が身体の問題であることが看過されている>という指摘には同意できる。ものの、他はあまり見るべきところはなし。やっつけ仕事なのかとも思ったけど、どうもそうではないらしい。

「売春婦は保護すべきだ」という主張と、「売春はよくない」という考えをどうやって整合させるのかといきり立つ人がいるかもしれない。だが、繰り返し言うように、現実が整合的でない以上、それについて語る理説が整合的である必要はない。(p.97)

 おいおい、本気かよ?とか思ってしまう。そういいたくなる気持ちはわからないではないけど、そっから先が哲学者の仕事じゃないんですか?と思うのだけど、なんか違うのか?思うに、性の売買がよくないと思う理由は、内田氏の指摘するように身体の問題として捉えるときにハッキリする(と思う)。しかし、それを禁止できないのは、禁止することが、身体の問題において被害を受けている(かもしれない)性労働者の立場を一層悪くするから、ではないのかな。二つの原理とその優先順位、という話で、そこはかなり整合的にできる話だと僕は思ってる。