モジモジ君のブログ。みたいな。

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『わたしが「みなみ」だった頃』

 桜木美希『わたしが「みなみ」だった頃―元女子大生ピンサロ嬢の告白』。今日届いてて、帰りの電車の中でほとんど読み終えた。だいたい1時間くらいで全部読める。絵本か、と思ってしまうほどの飾り気のない素朴な文体なんだけど、書かれていることはかなり物凄いことになってる。少なくとも僕は、こうしたものを読んで、「売春=自由意思」論をぶつ人の気がしれない。と同時に、この本の〆はこう書かれていることについては、真面目に考えないといけない。その世界から足を洗った「みなみ」は、かつての仲間たちに向けて次のような思いを抱く。

 私は今日、彼女たちに優しいお客さんがついて、稼ぎが良いようにと祈りました。なぜか彼女たちが足を洗えますようにとは祈れませんでした。

 彼女は本の中で、その仲間たちの過酷な生を描いてはいるけれども、「だから禁止」と短絡する廃娼論者に都合よく引用させまいとわざわざ最後に念押ししてるわけだ。禁止したってできないし、しばしば行われる一斉取締りは彼女たちをさらに過酷な状況においやるのみで何の意味もない。一体誰のための取締りなのか。彼女はあとがきの中でそう指摘する。
 「売春=自由意思」論は破棄した上で、これにどう答えるか。ひとまず、僕の中ではイメージが固まってきました。明日は一日、この作業に取り掛かります。